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【賃貸物件の管理】~基礎編 ⑥~

2024/07/12(金) 09:56

賃貸物件の管理 基礎編⑥

〖メーター検針〗

今回の第6回目はメーター検針についてお話しします。

検針作業は地味と言えば、地味な仕事なのですが、ビルを運営していく中で絶対的に必要な仕事とも言えます。
そして、実は奥が深く重要な仕事でもあります。
やっている人にはわかりますね!!

■検針メーターの種類
検針の対象は、電気、水道、ガスというところになります。
メーターには公設メーターと私設メーターがあります。それぞれ親メーター、子メーターと呼ばれることが多いです。
親メーターは、電力会社、水道局、ガス会社など供給事業者が建物に設置して、全体の使用量を計るものになります。子メーターは、建物側で各階や各部屋の使用量を計る為に設置するものになります。パっと見は同じようですが、所有者、目的が違ってきます。

そういうわけで、基本的には、親メーターは供給事業者が検針し、子メーターは建物側の管理会社などで検針することになります。管理会社では全体量の把握が必要なこともあり、親メーターを独自に検針することもあります。ガスは管理会社で見ることは稀ですね。


■有効期限
各メーターの値をもとに、供給事業者も建物側も請求を起こすわけですから、メーターが正確でないと困りますよね。初めは正確でも経年劣化もあります。そこで、「計量法」「計量法施行令」により、メーターの有効期限が決まっています。
ちなみに、計量法は水道メーターなどだけではなく、様々な計量の基準を定め、適正な計量が実施されるように定められています。タクシーメーターなども入ります。
(メーターに表示がありますので、うっかり期限が切れていた!という場合はご相談ください)

■検針の実際
・電気メーターの検針
ビルなどの建物では照明やコンセントなどの使用量を計る「電灯」メーターとエアコンなどの使用量を計る「動力」メーターがあることが一般的です。

一つの部屋やフロアーにそれぞれ一つとは限らず、複数のメーターがある建物もあり、検針する数としては電気メーターが一番多いと思います。

・水道メーターの検針
各フロアーにひとつ、または部屋ごとに分かれている場合もありますが、電気メーターのように細かく分かれていることは少ないです。古いビルや小型のビルの場合は、子メーターがないとか、複数フロアーで一つとかの場合もあります。

そして、経験上、ビルの設計者や施工者の方へお願いがあります。

「メーターが見にくい!!」 (~_~;)
建物が多いですね。
背伸びしたり、狭いところに顔を突っ込んだり位はよくありますが、鏡を使わないと見れないのは勘弁していただきたいですね。
恐らく配管の取り回しに苦労しているのかなと思いますが・・・








■検針で大切なもう一つのこと

メーター検針は、光熱費のテナント請求の基礎となるので、必要な作業になるのは当たり前ですが、実はもう一つ大切なことがあります。
「検針」は「健診」という側面があります。
“ビルの主治医”として健康診断ですね。
水道検針をしていると、前月に比べて突如として使用量が上がることがあります。通常は多少上下しますが、同じような人数で同じような使い方をしていると使用量もほぼ毎月同じような数字になるものです。
ところが数倍や10倍などになるときがあります。これは異常があるはずです。
すぐにテナントへヒアリングして、理由が明確であれば良いですが、不明な場合は、各所を調査します。見えないところ、わかりにくいところでの漏水がある場合もあります。
また、検針は各所を目視点検しながらまわったり、音を聞いたりします。テナントの担当者の方と会話することも多いです。問診に近いかもしれません。
すると、
「そういえば、エアコンから時々変な音がするのですけど」
とか
「キッチンの水栓を締めてもポタポタ垂れていることがあって」
など、日常的に使用しているから気付くこと、大きなトラブルになる前に早めに言ってもらえて、良かったことなどがあります。

テナントの人数や利用方法などの変化などもわかりますから、管理者としてはとても有意義な情報となり、その後の提案活動に活かせます。










次回は検針したデーターでの光熱費の算出や請求業務についてお話しします。


【建物管理のご相談はお気軽にどうぞ】
株式会社首都圏ビルマネジメント
管理部 伊藤隆晴
t-ito@daku.co.jp
03-3289-0151

 

【賃貸物件の管理】~基礎編 ⑤~

2024/06/06(木) 15:36

賃貸物件の管理 基礎編⑤

〖警備〗

第5回目は、建物の警備関係についてお話しします。

今の時代、「セキュリティ」や「防犯」、「防災」、「安全・安心」という言葉をよく耳にすると思います。
警備の仕事は保安職という分類になりますが、幅が広いので、今回はビルの警備関係ということに絞ります。
とはいえ、それでも幅が広く、前述の言葉にすべてに関わってきます。



■警備の分類
警備の業務は次の4つに分かれます。(警備業法第2条での定義)
 1号業務:施設警備
 2号業務:交通警備(交通誘導、雑踏警備)
 3号業務:輸送警備
 4号業務:身辺警備

ビルに関わるのは主に1号業務になります。
その中も
 (1)
施設警備
 (2)
巡回警備
 (3)
機械警備
に分かれます(保安警備は割愛)




■(1)施設警備
施設警備は、建物の通用口などに警備員さんが常駐していて受付などしてくれるのがイメージしやすいと思います。建物内を巡回したりもして、建物の安全を守ってくれます。業務としては、出入りの管理や鍵の管理、開閉館などになります。
■(2)巡回警備
巡回警備も建物を計画的に巡回して安全を守ってくれますが、文字通り常駐はしていません。

どちらも人が対応してくれますので、安心感はありますし、臨機応変な対応も期待できますね。
ところが、中小規模のビルやマンションにとって頭の痛い問題もあります。
それは、人件費がかなり掛かるというころになります。
24時間常駐してもらうには、どれだけの費用になるでしょうか?
費用面で考えると、ある程度の規模以上のビルが対象となりますね。
小型のビルでは、次の「機械警備」が第一の選択肢となります。

■(3)機械警備
これは建物各所にセンサーを取り付けて、異常があれば監視センターで検知し、警備員を出動させるという手法になります。(警備業務用機械装置といいます)
状況によっては到着まで少し時間がかかる場合もありますが、車やバイク、自転車などで駆け付けてくれます。

私はつい先日、お部屋に入室したところ、割とすぐに警備員さんが出動してこられて、初めは「えつ、どうしました?」という感じでビックリしたのですが、警備の解除を忘れていたことに気付きまして、、、平謝りでした。
大変申し訳ありません(-_-;)


また、侵入警備だけでなく火災警報や設備異常を監視してもらうことも一般的です。

用途や事情により、機械警備に巡回警備を組み合わせている建物もあります。


■防犯カメラ
こちらは、上記の警備業法の分類とは別ですが、今では設置されていて当たり前の機器になりました。犯罪等の「抑止力」といざ事が発生した時の「証拠」という2つの役割があります。
犯罪という大げさなことでなくても、あとから確認や調査ができるということで役に立つことは多い設備です。

これも、どこに、どんなタイプのカメラを何台設置するのかなど、ノウハウが必要になってきます。
いざ事が起こって、確認したら、微妙に死角の場所だったとか、明るさや画質が不十分だったという残念なことにもなりかねません。

費用と委託内容のバランスを取って利便性、安心・安全をテナントへ提供できるようにしましょう!


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【賃貸物件の管理】~基礎編 ④~

2024/04/30(火) 23:18

賃貸物件の管理 基礎編④

【建物設備の保守点検】

第4回目は、設備の保守点検業務についてお話しします。
毎回、これは大切な項目だと言うことが多いのですが、設備の保守点検は大切です(;^_^A

というのも、安全性や快適性への影響はもちろん、設備が稼働しないと建物の利用そのものが出来ないとなりかねませんし、法令での点検が義務付けられている項目も多々あります。

建物の年代や規模、用途等に応じて種類や数なども様々ですが、ここでは基本的な設備とその保守点検についてお話しします。

■電気設備点検
受変電設備、配線、分電盤、非常用発電設備などを、電気主任技術者を選任して点検してもらう必要があります。
電気が建物にとって重要なことはお判りと思いますが、それ以上目に見えないので、専門家が法令に乗っ取り、しっかりと点検して安全性を確認します。

■昇降機点検
いわいる、エレベーターの点検には2種類あります。
一つ目は、建築基準法第12条の3項に基づく定期検査報告です。1年に1回(特定行政庁の定めによる)、検査者が国土交通大臣が定める基準に適合しているか検査して特定行政庁へ報告する義務があるものです。
二つ目は、保守点検です。これは建築基準法第8条の維持保全に基づくものです。
性能と安全の維持ですね。多くの保守会社は毎月、有人または遠隔操作などで点検し、異常があれば対応しています。
ビルの昇降機保守点検といえばこの二つをまとめて契約して実施してもらうのが一般的です。
また、保守契約のタイプとしてPOG契約とフルメンテナンス契約があります。
簡単に言えば、故障または点検での指摘事項に対して、どこまで費用が含まれているかということになります。日頃の費用を抑えたいか、安心を優先するかというところですが、詳細は奥が深いのでまた別の機会に。

■衛生設備保守点検
これは、給水関係の受水槽、高架水槽、ポンプ類の点検や排水関係の汚水槽、雑排水層や枡、ポンプ類などの清掃や点検を指します。
建物の規模、用途、水槽の大きさなどにより、水道法、ビル管法、建築基準法などで保守点検が定められていますが(法定点検)、飲み水であることと考えると、法律に定められていないものも、しっかりと自主点検、保守を行うべきと考えます。

■空調設備点検
空調機の保守点検は上記の電気、エレベーター、衛生設備などに比べると、若干後回しにされる傾向がありますが、フロン排出抑制法により業務用空調機には簡易点検や規模により定期検査の義務もあります。
また、法定以外でも点検やフィルター清掃や分解洗浄なども、性能の維持、臭いや衛生面、ドレン詰まり、エネルギー効率、機器寿命などへの影響がある為。定期的に行うことをお勧めします。

■消防設備点検
消防設備点検は消防法第17条3の3に定められた法定点検、報告ですので、実施していない建物は少ないですが、稀に未実施や点検回数不足などが見られます。
そして点検後は、指摘事項があれば改修を速やかに実施しましょう。
過去に大きな被害を出した火災では、点検報告の未実施をはじめとする法令違反が多数ありました。
年に2回の点検(総合点検、機器点検)と防火対象物の用途により年に1回または3年に1回の報告となります。


このように設備点検は法令で定められたものも多くある為、専門業者、資格者などに相談の上、依頼された方が良いかと思います。


株式会社首都圏ビルマネジメント
管理部 伊藤隆晴
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【賃貸物件の管理】~基礎編 ③~

2024/03/29(金) 20:31

【賃貸物件の管理】 ~基礎編③~

前回は、建物の清掃の中でも特に大切な「日常清掃」に関してお話ししましたが、今回はその他の清掃についてです。
もちろん、これらも大切な項目となります!


余談ですが、清掃って本当に大切です。よく考えてみると人類が清掃に掛けている労力は相当なものがありますね。
家庭の中はもちろん、洗車もしますし、お風呂にはいったり、歯磨きしたりも体の清掃といえば清掃ですし・・・
文化的、衛生的な生活を送る、そして精神衛生的にも労力を掛けても必要なことと改めて思います。


■床面定期清掃
日常清掃と並んでスタンダードな清掃項目です。
こちらも頻度で建物の雰囲気が左右されます。
石やビニールタイル、カーペットなど床面の素材に合わせて作業内容も変わってきます。

作業は人がいない時でないと難しいので、日常清掃とは逆に、稼働日以外、オフィスビルなどでは主に土曜日か日曜日に実施されることが多くなります。

この人がいない時、というのが実は曲者だったりします。良い業者を選ぶこと、気になることを確り伝えることなどが、大切になってきます。

床面定期清掃は機械を使ったり、特殊な洗浄液を使ったりと専門的な知識や技術も必要なお仕事です。信用があるところを選びましょう。



■ガラス清掃
オフィス街ではよく見かけると思いますが、ローブでぶら下がってブランコに乗って作業しているアレです。

自分はめちゃめちゃカッコイイと思います。(自分では絶対にできないので・・・)

とても危険な作業に見えますが、しっかり安全対策をしていますので、作業している方に聞くと、ブランコ作業より、室内からの乗り出しての窓清掃の方が怖いと言っていました。

大型のビルではゴンドラに乗って作業しているところもあります。
もちろん、室内側の清掃もします。

こちらも頻度は大切です。
汚れていると室内から窓を見たときボヤっとした視界になって、気分は下がりますよね。

毎月か2ヶ月1回は作業したいところです。
立地の条件や建物の窓によってはもう少し間隔をあけている場合もあります。




■特別清掃
日常清掃や定期清掃と言われるものは、基本は床面になります。
手の届く範囲でポストを拭いたり手摺を拭いたりしますが、空間の下側がメインになります。


しかし、実際には照明器具や普段は手の届かない上の方も埃は積もってきます。
そこで、年末の大掃除だったり、年間で回数を決めて特別清掃として清掃する場合があります。

また、季節により落ち葉清掃を日常清掃に追加で入れたりすることもあります。

物件に合わせて、必要な清掃を提案してもらえる管理会社や清掃会社が良いですね。


30年、40年たった建物でも見に来たお客様が「えっ!?そんなに経ってるのですか?」と驚かれることがあります。建物オーナーさんの愛情が注がれた物件は確実に違います。

最終的には規模、利用人数、予算などから決まってくるとは思いますが、清掃関係には出来る限り予算は割いた方が良いと、私は思っています。

株式会社首都圏ビルマネジメント
伊藤隆晴
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【賃貸物件の管理】~基礎編 ②~

2024/02/29(木) 17:57

前回の基礎編①では、賃貸物件の管理やその項目について概要をお話ししました。
今回はその中でも建物の維持に大切な「日常清掃」に関してお話しします。

長年、建物管理の仕事をしていますが、「管理業務の中で一番大切なものは何か?」と質問されたら、真っ先に「清掃」と答えます。

どんなに新しい建物でも、清掃をしていなければ、数ヶ月で荒れてくることでしょう。いや、数ヶ月も必要なくあっという間かも知れません。人が動く、仕事をする、生活するというのは、思った以上に汚れるものです。

エントランス、エレベーター、エレベーターホール、廊下などの共用部、トイレや給湯室などの水回り、ゴミ庫、室内の床面など日常的に清掃が必要な場所になります。

■日常清掃の頻度による差とは?

では、「日常清掃」はどれくらいの頻度で実施すればいいのか?と聞かれることも多いのですが、私の回答はずばり「稼働日は毎日」です。(オフィスビルでは通常月曜~金曜の週5日ということが多いです。)

清掃をしっかり実施している建物とそうでない建物は、年数が経つにつれ徐々に差が出てきます。
どんな差かというと、「パッと見た目の雰囲気」が違ってきます。
「えっ、そんな抽象的なの?」
と思われるかも知れませんが、そうなのです。
ちょっとしたクスミの長年の積み重ねや清掃員が余裕をもって作業しているか、ギリギリの時間や日数の中で出来る範囲で作業しているかなどで違ってくるものです。

それから日が開くと、汚れたままの時間が長くなります。1日開くだけでも、それ以上にゴミや汚れが目につく時間が長くなります。

そして、それは入居者様、テナント様が快適に過ごせるかどうか、更には大切に長く利用してくれるかどうか、というところに関わってきます。

テナント様から「ここの清掃員さんはいつも綺麗にしてくれいて、とても快適ですよ」
と、お褒めの言葉を頂くと嬉しくなります。

■日常清掃の価値は清掃だけではない?

清掃員さんの仕事は当然、清掃をすることなのですが、実はそこには見えない価値があります。他に管理人さんや設備員さんが常駐するような建物は別ですが、ほとんどの中小の建物では毎日ビルに行くのは清掃員さんだけです。
清掃をしていると様々とところに目が行きますし、昨日と今日の違い、異常などにも気づきます。
私も「水が漏れている」「変な音がする」「不法投棄がある」「ガラスにヒビがはいっている」「照明がつかない」等々清掃員さんからの連絡で、早めに対応できたことが沢山あります。

清掃員さんは設備などの専門家ではありませんが、日々、愛着やプライドを持って仕事をしていると気が付くことが多いものです。そして、「何か異変を感じたら、連絡もらえると有難い」と伝えておくと、殆どの場合連絡がもらえます。(ただし、本業ではないので100%を求めるものではありません。)


その他にも毎日見てくれている人がいるというのは色々なメリットがあります。
管理に掛けられる予算面の制約はありますが、優先順位を上げて考えていただけると良いなと思います。


そして、忘れてはならないのが、清掃員さんに対する感謝の気持ちです。

朝早くから、寒い日も、暑い日も、雨が降っても仕事をしてくれるというのは、有り難いことですね。

次回は、他の清掃関係のお話しを致します。

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伊藤隆晴
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